私たちの訪問看護ステーションでは、医療的なケアだけでなく、「聞き書き」というケアにも取り組んでいます。今回はシリーズ10回目。訪問スタッフ=「ケアライター」によるMさまへの聞き書きをご紹介します。
『頑張らなきゃ』
語り手:利用者Mさま
聞き手:緑店看護師
今日も血圧の値は良いの?ってことは私のお迎えはまだまだってことね。
あの世から帰ってくる人っていないでしょ?だからね、あの世は住みやすいって私は思うの。
そんなところに私も行ってみたいわ。旦那もいるし、可愛かった弟も先日逝っちゃったし。
今、私にできることはトイレに行くことぐらいしかないわ。笑っちゃうわね・・・
饅頭でも何でもいいから自分の目で選んで、自分の手に取って買い物がしたいわ。
私も「頑張らなきゃ」って思う気持ちはあるのよ。「頑張らなきゃ」って気持ちだけだけど・・・
本当に気持ちだけよ。気持ちだけだから、まだリハビリの人には言わないでね。ふふっ。
(了)
※「聞き書き」とは、語り手の話した言葉をそのまま書き止め、語り手が目の前で話しているかのような文章としてまとめる手法です。みんなのかかりつけ訪問看護ステーションにとっての「聞き書き」は、ご利用者さまやご家族といった「語り手」の気持ちを聞き、言葉という文章に代えて手紙に綴るというもので、「ケア」の一環でもあります。
この「聞き書き」というケアは、ときには語り手が胸の内に秘めた想いをすくい取ることだったりします。それは意思決定支援の場面や、グリーフケアで活躍します。社内では、そんな取り組みをしているスタッフを「Care Writer(ケアライター)」と呼んでいます。
※掲載については、ご本人またはご家族の承諾を得たうえでご紹介しています
※聞き書きの内容は、個人が特定されないようアレンジしていることがあります