私たちの訪問看護ステーションでは、医療的なケアだけでなく、「聞き書き」というケアにも取り組んでいます。今回はシリーズ9回目。訪問スタッフ=「ケアライター」によるKさまご家族への聞き書きをご紹介します。
『親にとっての幸せ』
語り手:利用者Kさま
聞き手:黒川店看護師
あの写真の子どもですか?あれは、娘の子どもですね。
今もう成人してるんですけどね。
娘が3人と孫が5人いて、私は恵まれましたね。
人生いろんなことがありますけど、やっぱり誰かと一緒になり、
子どもを授かるって素敵なことなんだと思います。
賛否分かれることが多いですけど、私は結婚っていいなと思いますね。
娘のうち2人はね、結婚が遅かったんですよ。
私から「結婚しないの?」と何かを言うわけではなくて、
内心いつするのかなーって思ってたんです。
そしたらある日突然、
「ちょっと結婚してくるねー」っていきなり言うわけさ。
ねーーーっ。ほんっとにビックリしたわ!
「ちょっと」ってなによね。はははっ。
娘が若い頃はね、この子の人生だし、
親が結婚を決めることでもないし、
結婚しないでもいいかなって思ったけどさ。
やっぱり、娘が結婚してもらえた方が嬉しいじゃない。
娘が妻になって、母になった姿を見れる。
ふふっ、親にしたら十分幸せでしょ?
(了)
※「聞き書き」とは、語り手の話した言葉をそのまま書き止め、語り手が目の前で話しているかのような文章としてまとめる手法です。みんなのかかりつけ訪問看護ステーションにとっての「聞き書き」は、ご利用者さまやご家族といった「語り手」の気持ちを聞き、言葉という文章に代えて手紙に綴るというもので、「ケア」の一環でもあります。
この「聞き書き」というケアは、ときには語り手が胸の内に秘めた想いをすくい取ることだったりします。それは意思決定支援の場面や、グリーフケアで活躍します。社内では、そんな取り組みをしているスタッフを「Care Writer(ケアライター)」と呼んでいます。
※掲載については、ご本人またはご家族の承諾を得たうえでご紹介しています
※聞き書きの内容は、個人が特定されないようアレンジしていることがあります