私たちの訪問看護ステーションでは、医療的なケアだけでなく、「聞き書き」というケアにも取り組んでいます。今回はシリーズ7回目。訪問スタッフ=「ケアライター」によるGさまご家族への聞き書きをご紹介します。※写真はイメージです
『わたしの人生は、恵まれました』
語り手:利用者Gさま
聞き手:名北店セラピスト
戦後、みんなで食べるもんないって言ってね。
芋ばっか食ってたけど。
私らは船が着くと一緒に荷物持ちで付いていくの。
ついでに船乗りにパンを貰ったりしてね。
それを持って帰って、おばあちゃんに渡してね。
「美味しい、美味しい」って喜んでな。
今はそんなこと分からんだろうなぁ。
わたし? 若い頃、私はよぅモテたよ。
あっちからもこっちからも「付き合いたい」って声かけてもらってな。
楽しかったよ。
そりゃ、私が好きになる人もおったけどね。
あの時代、親がいかんって言ったらダメだもんな。
例えば、あの人は「なまかわ(怠け者)」だからいかんってなったら、
それでさよならだわ。
私は男勝りだで。相手側から「別れたない」って言ったってね。
理由付けてお付き合いできません。
はい、さようならって言って終わり。あっさりしとるだろ。
戦後の市内の大きい家は海外の軍人が占領してさ。
私はそこで住み込みの仕事してね。
今で言う家政婦みたいなもんだわ。
働いていた場所でお父さんと出会ったのよ。
お父さんは英語ペラペラだったから通訳してたわ。
お父さんは真面目でね、ええ人だったよ。
結婚してからもずいぶんと好きなことさせてもらったわ。
踊りやって、猿も飼って、海外旅行も行ってな。
好きな事ばーっかやって、私は苦労してないでいかんわ笑
お父さんは80代で亡くなったけど、最期まで私の名前呼んでくれてね。
ほんとに良くしてもらったよ。
今はもうお世話になる側ね。娘と喧嘩ばーっかしとるわ笑
でもね。よぅしてもらっとるでね。
感謝しとるんよ。
私は、夫にも子どもにも恵まれてるわ。
(了)
※「聞き書き」とは、語り手の話した言葉をそのまま書き止め、語り手が目の前で話しているかのような文章としてまとめる手法です。みんなのかかりつけ訪問看護ステーションにとっての「聞き書き」は、ご利用者さまやご家族といった「語り手」の気持ちを聞き、言葉という文章に代えて手紙に綴るというもので、「ケア」の一環でもあります。
この「聞き書き」というケアは、ときには語り手が胸の内に秘めた想いをすくい取ることだったりします。それは意思決定支援の場面や、グリーフケアで活躍します。社内では、そんな取り組みをしているスタッフを「Care Writer(ケアライター)」と呼んでいます。
※掲載については、ご本人またはご家族の承諾を得たうえでご紹介しています
※聞き書きの内容は、個人が特定されないようアレンジしていることがあります