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難しい会話・難しい感情のあつかい方、最新科学から学んでみた

コロナ禍で心理的安全性が低下

難しい会話が増えている

行動科学者でコンサルタントののジェフ ニブ氏(Jeff Knibb、ニューロリーダーシップ研究所アジアパシフィック)のWebinarに参加しました。

コロナ禍で”難しい会話”が増えているとジェフさんは指摘します。
サービス業の従業員に対する顧客からの攻撃的な会話が増加しているのもその現れだといいます。

リハビリテーション中

ジェフさんは、現状(2022年10月)を次のように捉えています。

  • パンデミックのショックから、今はまだリハビリテーションの段階。

  • ストレスから小さなつまづきも、超えるのが難しい人が多い。

  • 隔離されているため、社会性が萎縮している。

科学的に分かっていること

感情は隠しても無くならない

脳の働きで分かっている事を紹介します。

一つめは、一般的に仕事には感情はもちこまないように、と言われていますが、リサーチ結果は、感情は隠してもどこかに消えたりしないことが分かっています。


シーソーで働く脳

二つめは、認知力や感情を司る、前頭葉と大脳辺縁系(リンビックシステム)は、シーソーで働きます。脅威が高いと、認知能力が下がります。

脅威 と 認知力

脅威を感じていると、話しかけられたても理解することが出来なくなります。


"難しい"ときは、脅威が高いとき

脅威度合いをラベリング

感情が高ぶったり、気持ちがコントロール出来ない時は、会話をするのが難しくなります。また、前向きに事態を捉える事も難しいです。

そんな時、脅威がある度合いを測ることで現状を理解することができます。

脅威レベル

ここで面白いのは、脅威レベル1の程よい制約があると生産的になるということです。

脅威レベル確認チェック

皆さん、いま、どの位の脅威レベルですか?

Q.1   今週は、だいたいどのレベルの脅威を感じていましたか?
Q2. それは、思考力や問題解決力にどのような影響がありましたか?

脅威が高い時、こうなる

次のような影響が発生します。

  • 思考力が低下する

  • 自己制御力が弱まる

  • 自分にとってよい選択肢を選べなくなる(自滅的)

  • より防御的になる


断ち切りたい、脅威増加サイクル

さらに、脅威を感じると、より脅威が高まるように出来ています。

脅威 → ストレス反応 → 認知力への影響 → 自己制御力低下

このサイクルがさらなる脅威反応を引き起こします。

歩くことで生理学な刺激で(新鮮な空気など)脅威が軽減すると分かっています

”難しさ”を緩和するツール

3つの習慣

高まった感情を段階的に緩和するために出来ることをリサーチ結果から紹介します。

① ラベリング
脅威レベルを数値に表す
いま起こっていることを数値に表すことで一息つける

label

② 読み解く
脅威の原因をみてみる
相手が不機嫌なのはこの会話のせいか、昼食を食べていないから等捉え直してみる

Interpret

③ 解消する
状況をほぐす
自身の脅威レベルを認識し、相手の脅威を想像した上で、能動的に脅威反応を軽減していく

Defuse


読み解くための問い、SCARFモデル

相手が感じているであろう脅威を読み解くために、SCARFモデルの問いが役に立ちます。

Satus 地位: 尊重されて、価値があるよう扱ってもらっていると思えているか?
Certainty 確実性:必要な情報をすべて揃っていると思えているか?
Autonomy 自己選択感:選択肢やコントロールをもらえているか?
Relatedness 関係性: お互いを理解できているか?
Fairness 公平性: これはフェアか?

解消のための問い、SCARFモデル

難しい状況を解消する際の姿勢をSCARFモデルで考えると次のようになります。

Satus 地位: あなたの気になっていることが最重要です
Certainty 確実性:一緒に解決しましょう
Autonomy 自己選択感:この選択肢の中で一番良いのはどれですか?
Relatedness 関係性: あなたの意見に寄り添っています
Fairness 公平性: きちんと対処します

今日のテイクアウェイ

Webinarの参加中に、ジェフさんからの投げかけで、参加者全員がその時の”脅威レベル”を数値にしてチャットに書き込みました。

その時、2.3で結構高い数値でした。ですが、書いただけでスッキリしました。

参加者の1人は、「このチャットを見ているだけで、自分だけではないんだと思い気分が楽になってきた。」と言っていました。

ラベリング、いつでも簡単に数秒で出来るので"難しさ”を感じた時にぜひ試してみてください。


参考情報:

Photo by Annie Spratt on Unsplash
Photo by whoislimos on Unsplash
Photo by Jonas Weckschmied on Unsplash
Photo by Edwin Hooper on Unsplash


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